PCゲームをリアルタイム翻訳する無料ツールの選び方 — 方式別の一覧と用途別の分岐

PCゲームをリアルタイム翻訳する無料ツールの選び方 — 方式別の一覧と用途別の分岐

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日本語に対応していないPCゲームを遊ぶための無料ツールは、この2年でかなり増えました。ただ検索して出てくる記事はツール名の羅列が多く、「自分のゲームと環境ではどれが動くのか」が最後まで分かりません。この記事では、まず方式の違いを説明し、次に各ツールの公式情報を並べ、最後にゲームの種類と環境で分岐する選び方を書きます。評価や順位付けはしません。仕様は各ツールの公式ページとGitHubの記載(2026年9月2日時点)に基づいています。

方式は2つ — 画面を読むか、内部の文字を取るか

ゲーム翻訳ツールは、文字をどこから取るかで2種類に分かれます。

OCR方式は、画面に描かれた文字を画像として読み取ります。ゲームのファイルには触らず、動いているものなら何でも対象にできるのが利点です。欠点は読み取り精度が文字のデザインに左右されることで、装飾フォントや背景に溶けた文字は苦手です。

テキストフック方式は、ゲームが文字を描画する直前にプログラム内部で文字列を取り出します。取れた文字は完全に正確で遅延もありませんが、対応するゲームエンジンでしか動かず、ゲームのプロセスに介入します。ノベルゲームの世界で長く使われてきた方式です。

翻訳の側にも分岐があります。オンラインの翻訳サービス(Google・DeepL・Papago等)に送るか、PC上のモデルで翻訳するかです。オンラインは高品質ですが接続とアカウントやAPIキーが要ることがあり、ローカルはオフラインで動く代わりにPCの性能を使います。

無料ツール一覧(公式情報のみ)

Playto Lite(OCR・ローカル翻訳)

Steamで配信している無料版。画面の指定範囲をローカルOCRで読み取り、ローカルの翻訳モデルで訳して、その場にオーバーレイ表示します。アカウント登録もサブスクリプションも不要で、初回のモデルダウンロード後はオフラインで動きます。対応言語は23で、どの言語からどの言語へも翻訳できます。学習向けの機能(単語帳・フラッシュカード・読み上げ)も上限つきで使えます。カーソル追従読み取りとウィンドウ全体の読み取りは製品版の機能です。Windows 10/11対応、推奨はWindows 11(内蔵OCRの精度が高いため)。Playto Liteのページ

MORT(OCR・オンライン翻訳中心)

killkimno氏によるMITライセンスのOSS。OCRエンジンをTesseract・Windows OCR・Google Cloud Vision・Snipping Tool OCR・EasyOCRから選べ、翻訳先はPapago・Google・DeepLのほか、ezTransやHTTP経由のカスタムAPI(LibreTranslate・NLLB等)にも接続できます。Windows 10以降の64bit版が主で、フルスクリーンでは使えない(ウィンドウ/ボーダーレス必須)、CPUがAVX2対応であること、.NET 9とVC++が必要と公式に記載されています。最新リリースはv1.319(2026年8月)。GitHub

LunaTranslator(フック+OCR・ローカル/オンライン翻訳)

HIllya51氏によるGPLv3のOSS。テキストフックが主で、ほぼ全てのノベルゲームと、NS/PSP/PSV/PS2のエミュレータにも対応すると公式に記載しています。OCRも内蔵していて、Windows OCRやオンラインOCRも選べます。翻訳はオフライン(Sakura・Sugoi等)と無料オンライン(Google・DeepL・Bing・Papago等)、APIキー登録型(ChatGPT・Claude・Gemini等)の全てに対応します。表示は専用ウィンドウのほか、ゲーム内に埋め込む表示も可能です。Windows 10/11の64bitが推奨で、古いWindowsは機能制限つき。最新リリースはv10.16.5.4(2026年9月)。GitHub / 公式ドキュメント

Translumo(OCR・オンライン翻訳)

Danily07氏によるApache 2.0のOSS。OCRはWindows OCRが推奨で、TesseractとEasyOCRはレガシー扱い。翻訳はDeepL(推奨)・Google・Yandex・Papagoのオンラインのみです。認識できる言語は英語・ロシア語・日本語・簡体字中国語・韓国語で、翻訳先は30言語以上。指定した範囲にオーバーレイで訳を出します。Windows 10(build 19041)以降対応で、フルスクリーン不可、EasyOCRを使う場合はNVIDIAのCUDA GPUと8GB RAMが必要と公式に記載。最新リリースはv1.0.2(2025年9月)。GitHub

Textractor(フック専用)

Artikash氏によるGPL-3.0のOSS。テキストフック専用でOCRはありません。多くのゲームエンジンを自動でフックし、AGTH互換のフックコードも使えます。本体は文字の抽出を担い、翻訳や表示は拡張機能で足す構成です。Windows 7以降とWineで動作。最終リリースはv5.2.0(2022年1月)で、それ以降のリリースはありません。GitHub

PCOT(OCR・都度読み取り)

ぬるっぽ氏による無料ツール。ゲームのプロセスに接続して範囲を指定し、読み取って翻訳します。最近の更新でGemini AIによる読み取りが追加されました。公式ページに「リアルタイム翻訳には対応していません」と明記されているのが重要な点で、止まって読む場面向けのツールです。フルスクリーンや一部プロセスとは非互換、セキュリティソフトに誤検知される場合がある、Gemini APIは18歳未満利用不可、とも記載されています。最終更新はv1.7.9(2025年4月)。対応ゲームのWikiが公式に用意されています。公式ページ

RSTGameTranslation(OCR・ローカル/オンライン翻訳)

thanhkeke97氏による無料OSS。OneOCRとWindows OCRを内蔵し、PaddleOCR・RapidOCR・EasyOCRは別途セットアップで追加できます。翻訳はGemini・Groq・ChatGPT・Mistral(APIキー必要)、Google翻訳(キー不要)に加え、OllamaやLM Studio経由のローカルLLMにも接続できます。オーバーレイとチャットウィンドウの2つの表示があります。Windows 10以降、ウィンドウ/ボーダーレス必須。最新リリースはV5.4(2026年8月)。GitHub

参考: 有料のSteamツール

Steamには同種の有料ツールもあります。Glint Translator(Mushav Software、¥3,050)は画面OCRに加えてシステム音声の字幕化までを完全ローカルで行い、Ollama経由のローカルLLMにも対応しますが、ストアの記載上UIは日本語非対応です。Realtime Screen OCR Translator(Alright Peaches Studio、¥120)はTesseract-OCRを同梱し、翻訳はGoogle Translate APIでオンライン必須、103言語に対応します。この記事の主題は無料ツールなので詳しくは扱いません。

用途と環境で決める

ノベルゲームで、フックが効く

テキストフック方式が最も精度の高い選択です。LunaTranslatorはフック・OCR・翻訳・表示を1本で持ち、エミュレータにも対応します。Textractorは抽出に専念する設計で、拡張機能を自分で組みたい人向けです。フックが効くかはタイトル次第なので、まず試して、効かなければOCR方式に切り替えます。

フックが効かない、または3Dゲーム・アクション・ストラテジー

OCR方式が対象になります。字幕や台詞の位置が決まっているならPlayto Lite・Translumo・MORT・RSTGameTranslationのどれでも固定範囲で読めます。ツールチップやアイテム説明のように文字が散らばるゲームでは、カーソルの位置を追って読む機能が要り、これはPlaytoでは製品版の機能です。

オフラインで使いたい、アカウントやAPIキーを作りたくない

Playto Lite(OCR・翻訳ともローカル、アカウント不要)と、RSTGameTranslationのローカルLLM構成(OllamaやLM Studioの準備が必要)、LunaTranslatorのオフライン翻訳エンジンが候補です。MORTとTranslumoは翻訳をオンラインに送る前提で、Translumoは公式が「翻訳サービス側が過剰リクエストを遮断する場合がある」と注記しています。

止まって読めればよい、リアルタイムでなくてよい

PCOTはこの用途向けに作られていて、対応ゲームWikiと長い運用実績があります。逆に、流れる字幕やオートバトルの結果を追う用途にはPCOT以外を選びます。

Windows 10で、OCRの精度が気になる

OCR方式のツールはWindows内蔵のOCRを使うものが多く、Windows 11の内蔵OCR(OneOCR)はWindows 10の標準OCRより精度が高いです。Windows 10のままなら、Tesseractや外部OCRエンジンを選べるMORT・RSTGameTranslation、あるいはGoogle Cloud VisionなどのオンラインOCRを持つツールが選択肢になります。

遊びながら外国語も覚えたい

原文を画面に残して訳をヒントとして添え、調べた単語を保存して復習する、という使い方はPlayto(Liteで上限つき、製品版で上限なし)が設計の中心に置いています。他のツールは翻訳に特化しているので、学習は別の単語帳アプリと組み合わせることになります。

導入前に確認すること

  • ゲームをボーダーレスかウィンドウモードにできるか。OCR方式のほとんどが前提にしています
  • 翻訳をオンラインに送ってよいか。送るならアカウントやAPIキーの要否を各ツールで確認します
  • ツールの更新状況。ここに挙げた中でTextractorは2022年以降リリースがなく、LunaTranslator・MORT・RSTGameTranslationは2026年8〜9月にリリースがあります
  • 非公式ツールは自己責任です。セキュリティソフトの誤検知は複数のツールが公式に注記しています

仕様は変わります。この記事の数字や対応状況は2026年9月2日時点の公式記載で、導入前に各ツールの公式ページで最新の情報を確認してください。