PCゲームのテキストを翻訳するには — 選択肢と仕組みの解説

PCゲームのテキストを翻訳するには — 選択肢と仕組みの解説

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Steamで遊びたいゲームが日本語に対応していない時、外部ツールで画面テキストを読み取って翻訳する方法があります。

ツールはいくつもあって、仕組みも向き不向きも結構違います。「どれがあるのか」「どう違うのか」「何を選ぶといいのか」を整理してみたのでご紹介します。

※2026年4月時点で公開されている公式情報を元にしています。各ツールの仕様や対応状況は頻繁に変わるので、導入前に各公式サイトで最新情報を確認してください。実際の使用感は環境とゲームによって変わります。

なぜゲーム画面の翻訳は難しいか

ゲーム画面のテキスト翻訳は、Webページやドキュメントの翻訳と違って複数の難しさを抱えています。

まずOCR (画面の文字認識) の精度。ゲームは装飾的なフォントや独特な字体を使うことが多く、背景も動的で、テキストが縦書きだったり曲がっていたりアニメーションしていることもあります。一般的なドキュメントOCRは印刷物を前提にしているので、ゲーム画面では精度が落ちやすい。

次にコンテキストの問題。字幕1行だけを見て翻訳するのは、人間の翻訳者でも難しい。話者が誰か、直前に何があったか、キャラクターの性格、ジャンルの慣例、それらを人間の翻訳者は全部使っているのに、AIには画像1枚分の情報しか入らない。短い文ほどこの情報欠落が効きます。

最後に動きの問題。字幕は画面を流れるし、ダイアログは次に切り替わる。翻訳が表示されるまでの数秒で、原文はもう消えていることもあります。リアルタイムで動く以上、速度と精度のトレードオフからは逃れられません。

どのツールも、これらを別々のアプローチで解こうとしています。

ゲーム翻訳ツールのアプローチ3種類

1. ゲーム内部にhookする方式

ゲームプロセスにフックして、表示される直前のテキスト文字列を直接取得する方式です。OCRを通さないので、フォントの装飾や描画品質に影響されません。精度面ではこれが一番正確です。

ただしゲーム側の実装に依存するので、対応できるゲームが限られます。ビジュアルノベルエンジンやUnityのように、内部構造が知られているフレームワークでよく動きます。AAAタイトルや独自エンジンの場合はhookできないことが多いです。

代表的なツール: Textractor (VN向け) / XUnity Auto Translator (Unity向け)。

2. 画面をOCRする方式

画面をキャプチャして、画像認識でテキストを読み取る方式です。仕組み上どんなゲームでも動く汎用性が強み。フォントが素直なら実用的な精度が出ます。

一方で装飾が強い字体、解像度が低い字幕、背景に溶け込むテキストは読み損ねることがあります。OCRエンジンの性能が全体の精度上限になる部分が大きい。

代表的なツール: PCOT / Live Translate / Quick Translate Engine / Playto。

同じ画面OCR系の中でも、画面のどの範囲を読み取るかで使い勝手が分かれます。

「定点」は画面の特定範囲 (字幕エリアなど) を指定して、そこを継続的にキャプチャする方式です。コントローラーから手を離さずに済むのが強みで、ダイアログが字幕バンドに固定表示されるRPGやJRPG、AAAタイトル向き。

「カーソル追従」はマウスカーソルの周辺を読み取る方式で、カーソルを動かすと対象範囲が一緒に移動します。メニュー、インベントリ、UI要素、アイテム詳細など、画面のあちこちに散らばるテキストを自由に拾いたい時に向きます。

「全画面」や「クリック選択」方式もあって、画面全体を一括翻訳したり、気になった箇所だけをクリックで範囲指定したりする形です。常時読み取りではないので流れるダイアログには不向きですが、メニュー画面の瞬時翻訳には向きます。

ツールによって対応モードが違うので、プレイスタイル (字幕だけ読めれば十分か / UIも自由に読みたいか) で選ぶ基準になります。

3. スマホカメラで撮影する方式

スマートフォンのカメラでPC画面を映して、Googleレンズなどで翻訳するアプローチです。専用ツールのインストール不要で、誰でもすぐ試せます。

ただ、ゲームのたびにコントローラーやキーボードから手を離してスマホを持ち、カメラをかざして、翻訳を読んで、スマホを置く、という流れになるので、プレイの流れは確実に切れます。

主要ツール紹介

各ツールの説明は、執筆時点で公式ページ・公式リポジトリに記載されている内容を元にしています。実際の使用感や最新仕様は、各公式サイトで確認してください。

PCOT (Nuruppo)

画面OCRベースの翻訳支援ツール。Windows10 OCRで画面上のテキストを認識し、DeepLやGoogle翻訳と組み合わせて日本語化します。無料で公開されていて、辞書機能、スクリーンショット翻訳、ポップアップ対応と公式ページで紹介されています。個人開発者Nuruppo氏が長く保守している日本語コミュニティで知名度の高いツールです。

公式: https://www.nuru.pro/software/pcot/

Textractor

ビジュアルノベル向けのhook型翻訳支援ツール。ゲームエンジンから直接テキスト文字列を取得して、外部翻訳エンジンに渡す仕組みです。無料・オープンソース。対応エンジンや使い方が公式リポジトリで公開されています。

公式: https://github.com/Artikash/Textractor

XUnity Auto Translator

Unity製ゲーム向けのhook型翻訳ツール。ゲームに組み込んでテキストを差し替える方式で、Unity対応のインディーゲームで広く使われています。無料・オープンソース。

公式: https://github.com/bbepis/XUnity.AutoTranslator

Live Translate (Steam)

Steamで買える画面OCR型の翻訳オーバーレイ。140以上の言語に対応、オフライン動作、画面のテキストをインライン置換すると公式ストアページで紹介されています。

ストア: https://store.steampowered.com/app/3812790/Live_Translate/

Quick Translate Engine (Steam)

2025年に公開された画面OCR型のSteam翻訳ツール。翻訳結果を半透明のバブルで表示する形式と公式ストアページで紹介されています。ゲーム画面に被さる構成に最適化したとのこと。

ストア: https://store.steampowered.com/app/3827150/Quick_Translate_Engine/

Playto (自社)

画面OCR + 翻訳 + 単語辞書を統合したデスクトップアプリ。OCR / Text+ (OCR + ビジョンモデルによる後補正) / VLM (画像から直接認識) の3エンジンを切り替えられて、キャプチャ方式も定点とカーソル追従の両方に対応しています。ローカルAI (llama.cpp) ベースなのでオフライン動作も可能。

ストア: https://store.steampowered.com/app/4603950/

参考: Googleレンズ (スマホカメラ)

専用ツールではないですが、PCゲームの翻訳手段として時々紹介されるので触れておきます。スマートフォンをゲーム画面にかざしてGoogleレンズの翻訳機能でテキストを読む、という流れです。

インストール不要ですぐ試せる手軽さはあるものの、プレイのたびに手を止めてスマホを持つ必要があるので、短時間のメニュー確認程度ならともかく、長時間のダイアログが流れるゲームには向きません。

自分に合うツールの選び方

どれが「一番」というのはなく、プレイするゲームと用途で向き不向きが分かれます。以下を目安にしてください。ツールの仕様は頻繁に更新されるので、導入前に各公式サイトで現行仕様の確認を推奨します。

プレイするゲームの種類で選ぶ

ビジュアルノベル中心の場合は、Textractorが広く使われていて対応エンジンのリストも公開されています。Unity製のインディーゲーム中心なら、XUnity Auto Translatorが選択肢。それ以外のRPG、MMO、AAAタイトル、Steamの英語専用ゲーム等ではhook型は対応できないケースが多いので、画面OCR系のツール (PCOT, Live Translate, Quick Translate Engine, Playto) が現実的な候補になります。

料金で選ぶ

無料で済ませたい場合は、PCOT、Textractor、XUnity Auto Translatorのいずれも無料で使えます。PlaytoのLiteも無料で画面OCR機能をカバーしています。商用サポートを重視するなら、Live Translate、Quick Translate Engine、Playto StandardはSteamで購入できる商用ツールです。

キャプチャ方式で選ぶ

字幕が画面の同じ場所に固定されて流れるRPG系のゲームが中心なら、定点OCRで十分です。PCOTやSteamのoverlay系ツールはこのモードが使えます。一方でメニューやインベントリ、クエストログなど、画面のあちこちに散らばるテキストを自由に読みたい場合は、カーソル追従が便利です。ゲームによって両方使いたいケースもあるので、対応モードの豊富さも選び方の軸になります (Playtoは両モードに対応しています。他ツールは公式サイトで対応状況を確認してください)。

翻訳だけでいいか、学習要素もほしいか

画面のテキストが日本語で読めれば十分、ということであれば上記のどのツールでも目的を果たせます。一方で、ゲーム中に出会った単語を溜めておいて後で振り返りたい、という場合はPlaytoが単語や文章の記録機能を持っているのでこの用途に該当します。他のツールは翻訳が主目的なので、単語記録は機能として持っていないケースが多いです。

まとめ

PCゲームの画面翻訳ツールは、hook型・画面OCR型・カメラ型の3アプローチに分かれていて、それぞれ得意領域が違います。プレイするゲームのエンジン、予算、翻訳の使い方で向くツールが変わるので、1つに絞らずいくつか試してから自分の環境に合うものを選ぶのが結果的に近道です。

この記事で紹介したのは2026年4月時点で確認できた主要ツールですが、他にも既存ツールや新ツールが随時登場しているので、紹介されているのを見かけたら一度公式サイトを覗いてみるといいと思います。